絶対に避けるべきニセ・ファクタリング契約
資金繰りのピンチヒッターとして期待され、普及が進むファクタリングですが、その一方で、ファクタリングを偽装したヤミ金融業者が増えているようです。形式的にはファクタリングの形を装いながらも、実質的には借金を負わせるものには要注意です。
これについては、金融庁が注意喚起しています。
金融庁の注意喚起を、整理してみます。

こんな契約は、ファクタリングではない!
金融庁では、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」と書いてあって、あたかもファクタリング契約であるように見えても、中身がファクタリング契約になってない例があるので、十分注意するように呼びかけています。
①手数料が高すぎる
金融庁のサイトには「ファクタリング業者から受け取る金銭(債権の買取代金)が、債権額に比べて著しく低額である」と書いてるので分かりにくいのですが、要は、ファクタリング業者の手数料が高すぎるということです。
前回、書きましたが、3社間ファクタリングでは1~10%、2社間ファクタリングでは10~30%が一般的です。売掛金が発生してから回収するまでの期間にもよりますが、これよりも高すぎる場合は、闇金業者による「偽装ファクタリングの疑いがあります」ので、契約せずに他のファクタリング業者を当たった方がよいでしょう。
②売掛金を回収できない場合に、事業主が責任を負う
もしも取引先が売掛金を支払わなかった場合に、どうするか?通常のファクタリング契約では、事業主に責任はありませんが、悪質なファクタリング契約では、回収するはずだった売掛金を事業主の資金で埋め合わせて支払ったり、ファクタリング会社から入金された資金を返還したりすることになっている場合があります。
契約書に、ノンリコース(売掛金が回収不能になっても事業主に返済義務は生じない)の規定があることを確認するだけでなく、売掛金が回収できない場合に、事業主が何らかの責任を負う規定がないか、契約書にないけど実際には何か責任を負わされるようなことをされないか、よく確認することが必要です。
このようなケースに当てはまらないか十分に注意するとともに、契約書で不明な点があれば、十分に確認の質問をしておくことが大事になります。
どんなケースでも、売掛金が回収できないリスクをファクタリング会社が負うからこそ、ファクタリング会社に手数料が発生するのです。売掛金を回収できないリスクを負わないファクタリング会社に手数料を払ってファクタリング契約をすることは、意味がないと言っても良いでしょう。
逆に異常に高すぎる手数料を払ってしまっては、資金繰りできるのは、ほんの一瞬です。あなたの会社の社員がタダ働きしてるようなものにもなります。悪質な偽装ファクタリング業者には十分、注意しまょうしょう。
ファクタリングでないと判断されたケース
金融庁のサイトには、ファクタリングとして行われた取引が貸金業に該当するなどの判断がされた具体的な事例について挙げられており、そこから考えると、以下のようなケースがあれば要注意です。
- ファクタリング業者が、売掛金を回収できないリスクを負ってない。
- 売掛金の金額と無関係に、ファクタリング会社から資金が入る。
- 売掛金が回収できなかった場合、事業主がその金額以上をファクタリング業者に支払う旨の公正証書を作成させられる。
- ファクタリング会社から資金が入金されてから、事業主が売掛金をファクタリング会社に支払うまでの期間が短く、売掛金が回収できない可能性が極めて低い。
- 売掛金の債権譲渡が取引先に発覚しないように、買戻期限までに譲渡債権を買い戻さなければならない状況になる。
- 契約書にノンリコース規定はあるが、取引先に不払いの兆候等がないことを、事業主に表明保証させる。
金融庁では、「少しでも心配な点があれば、法律の専門家である弁護士に相談するなど、違法な取引が行われないよう、ご留意ください」としています。
金融庁では、相談窓口も設けているので、相談してみるのもよいでしょう。
今回の注意点も踏まえて、次回は、はじめてのファクタリング会社選びのポイントについて書いてみようと思います。